相続した底地を売却したい方へ|第3回 売る前にできることは?底地の資産性を高める方法
前回は、底地の価格がどのような要素によって決まるのかについてご紹介しました。
では、現在の底地の状態をそのまま売却するのではなく、売却する前に資産性を高める方法はあるのでしょうか。
実は、底地の場合、権利関係や借地人との関係を整理することで、売却方法の選択肢を広げられるケースがあります。
今回は、相続した底地を「すぐに売る」のではなく、売却前に一度検討しておきたいことについてご紹介します。
底地は「土地」だけを見ても判断できない
一般的な土地であれば、立地や面積、形状、接道状況などから価格を検討します。
しかし、底地の場合はそれだけではありません。
土地を借りている「借地人」がいるため、
・どのような借地契約になっているのか
・地代はいくらなのか
・契約期間や更新状況はどうなっているのか
・借地人との関係は良好なのか
・過去に土地の買取などについて話したことがあるのか
といった、権利関係や契約内容が資産性に大きく関わります。
そのため、売却を考える場合には、まず現在の状況を整理することが重要です。
① 借地契約の内容を整理する

まず確認したいのが、現在の借地契約です。
契約書が残っていれば、
・契約開始時期
・契約期間
・更新の状況
・地代
・契約上の取り決め
などを確認します。
相続した底地では、契約から何十年も経過していることも珍しくありません。
「契約書が古い」「更新の経緯がよく分からない」「親から詳しい話を聞いていなかった」というケースもあります。
こうした場合でも、登記や契約書、過去の地代の支払い状況などを確認し、現在の権利関係を整理していくことが大切です。
権利関係が明確になっていること自体が、売却を進めるうえで重要なポイントになります。
② 地代が適切な水準なのか確認する
底地を所有している場合、借地人から地代を受け取ることになります。
そのため、現在の地代がいくらなのか、また、長期間にわたって同じ地代のままになっていないかなども確認しておきたいポイントです。
ただし、「地代を上げれば底地の価値も上がる」という単純なものではありません。
地代の変更には借地人との合意や契約関係なども関係します。
無理に地代を引き上げようとすることで、かえって借地人との関係が悪化する可能性もあります。
現在の契約内容や周辺の状況などを踏まえ、適切な水準なのかを確認することが重要です。
③ 借地人に土地を買ってもらえる可能性を探る
底地を売却する場合、忘れてはいけないのが現在の借地人です。
借地人からすると、これまで借りていた土地を購入することで、底地と借地権が一体となり、土地を所有権として利用できるようになります。
そのため、第三者に底地だけを売却する場合とは違い、借地人への売却が有力な選択肢になることがあります。
もちろん、借地人にも資金面や将来の利用予定がありますので、必ず購入してもらえるとは限りません。
しかし、「以前は購入するつもりはないと言われた」という場合でも、相続をきっかけに改めて話をしてみることで、状況が変わる可能性もあります。

④ 借地権と底地を一体で売却する方法もある
さらに、状況によっては、底地所有者と借地人が協力して、借地権と底地を一体として売却するという方法も考えられます。
底地だけを売却する場合、購入者は土地を自由に使えるわけではありません。
一方、借地権と底地が一体になれば、購入者は土地を所有権として取得できるため、一般的な土地と同じように検討できる可能性があります。
この方法は、底地所有者だけで決められるものではなく、借地人との調整が必要になります。
だからこそ、売却を急ぐ前に、どのような売却方法が考えられるのかを整理しておくことが大切です。
「資産性を高める」とは、単純に価格を上げることではない
ここまで読んで、「結局、地代を上げたり、借地人に買ってもらったりすれば高く売れるということ?」と思われるかもしれません。
しかし、ここでいう「資産性を高める」とは、単純に価格を上げることだけを意味するものではありません。
重要なのは、「その底地を購入したいと思う人にとって、検討しやすい状態にすること」です。
・契約内容が整理されている。
・地代や収支が明確になっている。
・借地人との関係が整理されている。
・借地人への売却の可能性も検討されている。
こうした情報が整理されていれば、底地を購入する側も判断しやすくなります。
結果として、「底地のまま売却する」以外の選択肢が見えてくることがあります。
それでも「そのまま売る」方が良い場合もあります。
一方で、すべての底地について、時間をかけて資産性を高める必要があるわけではありません。
・相続後、早期に現金化したい。
・借地人との交渉は難しそう。
・契約関係を整理するのに時間がかかる。
・今の条件でも購入を希望する買主が見つかりそう。
こうした場合には、無理に時間をかけず、現在の状態で売却するという判断もあります。
大切なのは、「高くするために何でもやる」のではなく、かける時間や費用、手間に対してメリットがあるのかを考えることです。
相続した底地は「売却方法」から考えてみる
相続した底地は、「底地だから安くしか売れない」と最初から決めつける必要はありません。
まず現在の契約や地代、借地人との関係などを整理し、
① 底地のまま売却する
② 借地人に売却する
③ 借地権と底地を一体で売却する
など、複数の可能性を比較することが大切です。
そして、その中から自分にとって最も納得できる方法を選びます。
相続した土地だからこそ、すぐに売却するのではなく、「今の状態で売るのが本当に一番良いのか?」を一度考えてみる。
それが、底地を売却する際の重要なポイントです。
売買担当スタッフ 河野(かわの)

